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質問箱より Q3「CGシリーズ初期のワークス・ユニットについて」

研究・考察
06 /20 2016
○Q
 CG版初期においてワークス・ユニットが普通の列車に挟まれることがあったのは何故か。

○A
 模型時代初期以来、主に救援列車の一部としてクレーン車に連結されるなどし、車体に書かれた文字からワークス・ユニットと通称される作業車両。質問者様のご指摘通り、このワークス・ユニットはCG制作移行後、救援列車以外の列車に単体で含まれることがしばしばありました。私の知る限りでは
・第14シーズン「トーマスがおてほん」…ナップフォード駅にて。ロージー+ワークス・ユニット+有蓋車+有蓋車+ブレーキ車、の五両編成。
・第14シーズン「ゆきだるまのぼうし」…沼地の線路にて。スタンリー+有蓋車+有蓋車+ワークス・ユニット+クリームタンク車+クリームタンク車+ブレーキ車、の七両編成。
・第15シーズン「とくしゅしょうぼうしゃフリン」…ナップフォード駅にて。トーマス+有蓋車+ワークス・ユニット、の三両編成。なお、ディーゼル整備工場へ部品を運ぶ旨をトーマス自身が明言している。
・第15シーズン「パーシーのあたらしいともだち」…ブレンダムの港にて。トーマス+有蓋車+ワークス・ユニット、の三両編成。なお、石切場へ道具を運ぶ旨をトーマス自身が明言している。
・第15シーズン「エドワードはヒーロー」…ナップフォード駅にて。ソルティー+ワークス・ユニット+ワークスユニット、の三両編成。
・第15シーズン「ヘンリーのとくべつなせきたん」…ソドー整備工場にて。ジェームス+ワークス・ユニット+ワークス・ユニット+有蓋車+有蓋車+有蓋車+有蓋車+有蓋車、の八両編成。
・第15シーズン「ステキなクリスマス・パーティー」…場所不明。ヘンリー+ワークス・ユニット+有蓋車+無蓋車+無蓋車、の五両編成。
・長編第7作『ブルーマウンテンの謎』…場所不明。ジェームス+無蓋車+無蓋車+無蓋車+無蓋車+有蓋車+有蓋車+ワークス・ユニット+ブレーキ車、の九両編成。
・第16シーズン「シマシマのゴードン」…場所不明。ディーゼル+燃料タンク車+燃料タンク車+無蓋車+無蓋車+ワークス・ユニット+オイルタンク車+ブレーキ車、の八両編成。
・第16シーズン「ソドーとうのサプライズ・デー」…ウェルスワース駅にて。パーシー+郵便貨車+郵便貨車+有蓋車+ワークス・ユニット+ブレーキ車、の六両編成。
・第16シーズン「ウィフのねがい」…場所不明。チャーリー+クリームタンク車+ミルクタンク車+ワークス・ユニット、以降の編成は不明。
・第16シーズン「ウィフのねがい」…ソドー吊り橋にて。ジェームス+作業車両+ワークス・ユニット+ワークス・ユニット+作業車両+ブレーキ車、の六両編成。
以上の計十二回。
 そもそもワークス・ユニットの本来の仕事は何かと言えば、作業の際に作業員を乗せることです。しかし作業とは言ってもクレーン車を用いるような大規模な救助作業だけでなく、作業員や作業道具だけを必要とする小規模な救助作業やその他の保線・点検といった作業も存在します。その場合には、作業員や道具の輸送を担うワークス・ユニットは救援列車の一部としてではなく単体で活躍することになります。第2シーズンの「みんなのだいひょう」でドナルドとダグラスが行っていた除雪作業が良い例ですし、職場までの作業員の輸送という点ではヘンリエッタにも役割が似ていると言えますね。
 また、作業は一日で終わるとは限りませんから、作業員達は場合によってはこの車両に寝泊まりすることもあるわけです。イギリスの鉄道で救援クレーン車に付属していた客車の中には一度に五十人が乗車できるものもあり、旗、霧中信号、屋上灯などの鉄道標識やスコップ、金槌、鑿などの作業道具、包帯、絆創膏、薬などの医療器具に加え、食料、食器、オーブンなど食事に必要な物も備え付けられていて、作業員の生活空間としての役割も担っていたそうです。テレビシリーズ第5シーズンのオールド・スローコーチにも通じる部分がありますね。したがって、救助作業以外の用途でワークス・ユニットが利用されることも多々あるわけです。
 ちなみに原作『汽車のえほん』では、このワークス・ユニットとそっくり同じ車両は登場しませんが、似た役割を担う車両は出てきます。第2巻や第7巻ではクレーン車に付属するオレンジ色の客車が登場していますし(この客車がテレビ版の長編『トーマスのはじめて物語』でワークス・ユニットの代わりに登場したことは、ファンの間でちょっとした話題になりました)、第15巻や番外編ではドナルドとダグラスによる除雪作業の際に茶色の車両が登場しています。なお、原語版を見ると前者には「coach(客車)」という単語が使われていますが、後者には「van」という単語が使われています。vanは一般的に貨車を表す際に用いられることが多い言葉ですが、15巻及び番外編の車両には明らかに客車のような窓が付いています。テレビ版のワークス・ユニットも「みんなのだいひょう」の原語版で同様にvanと呼ばれていました。そのためこれらの車両は、客車と同じように人間を乗せながらも貨車として扱われる車掌車(ブレーキ車、brakevan)と似たような役割を果たしている可能性も考えられます(実際、原作日本語版では茶色の車両は「車しょう車」と訳されています)。
 以上のようなことを踏まえた上でCG版初期のワークス・ユニットの用途について考えてみると、大きく分けて(1)無積載状態での入れ換えまたは(2)回送、(3)作業員の送迎、(4)作業道具(及び医療器具や食料)の輸送、(5)ブレーキ車の代わり、という五つの説が考えられると思います。
①「トーマスがおてほん」の場合
 このエピソードでロージーが走っているのはナップフォード駅の操車場に当たる場所ですから(1)の可能性も考えられなくはありませんが、ちゃっかりブレーキ車を連結している点を見ると(2)(3)(4)のいずれかの説が有力でしょう。
②「ゆきだるまのぼうし」の場合
 スタンリーが走っている沼地の線路はブレンダム線(エドワードの支線)上にあります。また、彼が牽いているクリームタンク車は、タンク内のクリームの有無にかかわらずクロスビー付近にあるソドー酪農場と関係していると考えられます。つまり、もしタンク内にクリームが積み込まれているならば、それはソドー酪農場から別の場所へ運ぶ物と推測できるわけです。逆に積み込まれていない場合、仕事を終え空になったタンク車を酪農場へ返却しに行く途中と考えられます。いずれにせよワークス・ユニットの役割は(2)(3)(4)のどれかでしょうが、前者の場合、ブレンダム線に入線していますから目的地はブレンダムの港である可能性が極めて高く、ワークス・ユニットの役割も港への回送か作業員ないし作業道具の輸送と思われます。後者の場合も用途は同じですが、目的地はクロスビーかその近辺でしょう。
③「とくしゅしょうぼうしゃフリン」の場合
 このエピソードでは、ディーゼル整備工場へ機関車の部品を運ぶとトーマス自らが言っていますから、有蓋車に積載されているのは機関車の部品と考えて間違いないでしょう。問題はワークス・ユニットですが、もしワークス・ユニットに作業員が乗っているのであればトーマスが部品の件しか言わないとは思えませんから、きっとワークス・ユニットの方にも部品が積載されているのでしょう。もっとも、ディーゼル整備工場への回送という可能性もありますし、最後尾にあってなおかつブレーキ車を連結していない点を見るとワークス・ユニットに車掌が乗っているという説も考えられますから、(2)(4)(5)のいずれかが妥当でしょうか。
④「パーシーのあたらしいともだち」の場合
 このエピソードでは、石切場へ道具を運ぶとトーマス自らが言っていますから、有蓋車に積載されているのは確実にスコップやつるはしなど採石に用いる作業道具でしょう。ワークス・ユニットについて考えると、③と同様の理由から(2)(4)(5)のいずれかが妥当でしょうか。
⑤「エドワードはヒーロー」の場合
 ソルティーはブレンダムの港での仕事を専門とする機関車です。その彼がブレンダムから離れたナップフォード駅で南に向かってワークス・ユニットを牽いているところを見ると、ナップフォード以北の駅や操車場辺りから港で働く作業員ないし作業道具を運んでいると考えるのが適当かと思われます。逆に、港の作業員をナップフォード駅より北で降ろした帰りと考えることもできますが。最後尾にもワークス・ユニットが連結されていることを踏まえるならば、(2)(3)(4)(5)のいずれかと考えられます。
⑥「ヘンリーのとくべつなせきたん」の場合
 ソドー整備工場周辺の側線ではしばしば、次の仕事を待っているであろう雑多な貨車が放置されています。今回のジェームスはそうした側線の一つからワークス・ユニットを含む七台の貨車を動かそうとしています。ブレーキ車を連結していないため(1)が有力でしょうか。とは言え、ジェームスはロージーやスタンリーのような小型タンク機関車に比べると入れ換えには些か不向きですし、一度の入れ換えにしては貨車の数が多い上、同じシーンで小型ディーゼル機関車のハリーとバートも入れ換えをしているのだから彼らに任せればいいではないか、ということにもなります。長距離貨物列車にブレーキ車が連結されていない、という鉄道規則を無視した描写はCG版初期には少なからず見られましたし、そうしたことを大目に見るならば(2)(3)(4)の説も考えられるでしょう。ちょうど側線の前にプラットホームがあることを考えると、(3)か(4)が有力でしょうか。
⑦「ステキなクリスマス・パーティー」の場合
 ヘンリーがワークス・ユニットの他に貨物を運搬しているのがポイントです。無蓋車には廃材らしき物が積載されていることから、これらの貨車はスクラップ置き場や精錬所へ運んでいるところではないかと推測を立てられます。したがって、それらの場所での作業に必要な作業員や作業道具を運んでいるという可能性も考慮すると(2)(3)(4)の説が妥当と考えられるでしょう。
⑧『ブルーマウンテンの謎』の場合
 まずはジェームスが列車を牽いていた地点についてですが、ブレンダムの港からソドー整備工場へ向かうトーマスとすれ違っているわけですから、本線を西に向かって走っていたかブレンダム線を南に向かって走っていたかのどちらかでしょう。ブレーキ車を連結して普通の線路を走行しているわけなので、ここでのワークス・ユニットの用途は(2)(3)(4)のいずれかの可能性が高く、走行地点がブレンダム線上なら目的地は恐らくブレンダムの港、本線上なら目的地はウェルスワースやナップフォード、ティドマスなど多数の貨車や貨物ないし作業員を必要とする場所と思われます。
⑨「シマシマのゴードン」の場合
 燃料タンク車やオイルタンク車を連結している点からして、これらを大量に必要とし同時に供給も行う燃料貯蔵所やディーゼル整備工場のような場所へ運搬しているか、もしくはそうした場所から運び出したかのどちらかと考えられます。となればワークス・ユニットにも、そうした職場の作業員や作業道具が乗っている可能性は高く、したがって(2)(3)(4)、特に(3)(4)が有力なものと考えられるでしょうか。
⑩「ソドーとうのサプライズ・デー」の場合
 他の例と同様の理由から(2)(3)(4)が可能性として考えられます。パーシーの専門業務である郵便配達の一環だと捉えるならば、その中でも特に(4)が有力かも知れません。
⑪「ウィフのねがい」の場合1
 明確な場所は不明ですが、恐らくチャーリーが走っているのは操車場と思われます。チャーリーは入れ換えの仕事をすることも多い機関車ですから、ここで牽引されているワークス・ユニットも入れ換えの目的で運ばれている物かも知れません。とは言え、タンク車の内容や無蓋車に積まれた藁を見るにこれらの貨車が農場や酪農場など特定の目的地へ運搬される予定であることは明白であり、その長距離列車をチャーリー自身が担当するという可能性を考慮するならば(1)(3)(4)(5)の可能性が想定され得るでしょう。
⑫「ウィフのねがい」の場合2
 ここでの作業車両とは、ワークス・ユニットと同じ形状をした色違いの車両のことです。したがって、ここでのジェームスは事実上ワークス・ユニットだけで構成された列車を牽引していることになります。回送の可能性も勿論ありますが、同場面でジェームス達が乗客や貨物を運んでいるという事実がナレーターにより強調されていることを考えると、(3)か(4)が妥当でしょうか。
 以上、私なりに考えを述べさせていただきましたがいかがでしょうか。

参考資料

□文献
○『汽車のえほん(The Railway Series)』ウィルバート・オードリー及びクリストファー・オードリー著
・第2巻『機関車トーマス(Thomas the Tank Engine)』
・第7巻『機関車トビーのかつやく(Toby the Tram Engine)』
・第15巻『ふたごの機関車(The Twin Engines)』
・番外編『Thomas and the Missing Christmas Tree』

□映像
○『きかんしゃトーマスとなかまたち(Thomas and Friends)』ガレイン・エンターテインメント及びヒット・エンターテインメント制作
・第7話「ジェームスのだっせん(Thomas and the Breakdown Train)」
・第43話「みんなのだいひょう(The Deputation)」
・第120話「トーマスとふるいきゃくしゃ(Thomas, Percy and Old Slowcoach)」
・第340話「トーマスがおてほん(Thomas' Crazy Day)」
・第348話「ゆきだるまのぼうし(Thomas and the Snowman Party)」
・第352話「とくしゅしょうぼうしゃフリン(Fiery Flynn)」
・第356話「パーシーのあたらしいともだち(Percy's New Friends)」
・第357話「エドワードはヒーロー(Edward the Hero)」
・第361話「ヘンリーのとくべつなせきたん(Henry's Happy Coal)」
・第366話「ステキなクリスマス・パーティー(Surprise, Surprise)」
・長編第7作『ブルーマウンテンの謎(Blue Mountain Mystery)』
・第378話「シマシマのゴードン(Bust My Buffers!)」
・第379話「ソドーとうのサプライズ・デー(Sodor Surprise Day)」
・第381話「ウィフのねがい(Whiff's Wish)」
・長編第10作『トーマスのはじめて物語(The Adventure Begins)』

□ウェブサイト
Thomas the Tank Engine Wikia
Breakdown Crane Association
The Island of Sodor Television Series Map

執筆:2016年5月23日
加筆:2016年6月25日、7月23日
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